人事のCOE(センターオブエクセレンス)は中小企業に必要か?

少子高齢化が進み、人手不足が深刻化するなか、多くの中小企業は経営環境の変化に直面しています。特に人材の確保や育成は経営の根幹を支える重要な要素ですが、大手企業のように専門的な人事機能を持つ余裕がない企業も多いのが現実です。

そこで注目されるのが「COE(センターオブエクセレンス)」という概念です。これは、人事の専門機能を強化し、企業の成長を支える役割を果たします。

しかし、中小企業において本当にCOEは必要なのでしょうか?本記事では、COEの概要や中小企業における人事戦略の考え方について詳しく解説していきます。

【目次】

  1. 変化する経営環境と人事の役割
  2. COEとは何か?
  3. 中小企業における人事戦略の考え
  4. まとめ

    変化する経営環境と人事の役割

    近年、企業を取り巻く環境は劇的に変化しています。

    • 少子高齢化の進行:労働人口の減少により、企業は限られた人材をいかに確保し、活用するかが重要課題となっています。
    • 採用競争の激化:優秀な人材の確保が難しくなり、企業は給与や福利厚生だけでなく、より総合的な職場環境の魅力を高める必要があります。特に以下のような要素が重視されるようになっています。
      • 企業の価値観やビジョンの共有:企業のミッションや理念が明確に示され、従業員に共有されているかが重要視されています。近年では、SDGsやESG経営への取り組みを積極的に打ち出す企業が増えており、社会的な意義のある企業活動が人材確保にも影響を与えています。
      • 働きやすさや職場環境の整備:リモートワークやフレックスタイム制度の導入、ワークライフバランスを支援する施策(例:育児・介護支援、メンタルヘルスサポート)の充実が求められています。特に、労働市場においては、多様なライフスタイルに対応できる柔軟な勤務体系が競争力を左右する要素となっています。
      • チームワークやコミュニケーションの促進:組織内のエンゲージメントを高めるため、オープンなコミュニケーション文化の醸成が必要不可欠です。定期的な1on1ミーティング、フィードバックの仕組み、心理的安全性の確保などが、優秀な人材の定着率向上に貢献します。
      • キャリア形成の支援:単なるスキルアップ研修にとどまらず、リスキリング(新たな職種へのスキル転換支援)や副業・兼業を認める企業が増えています。また、メンター制度やキャリアコーチングの導入により、従業員が自身の成長を主体的に考えられる環境を作ることが求められています。
    • 経営環境の変化:DX(デジタル・トランスフォーメーション)、AIの活用、リモートワークの普及により、企業の働き方そのものが変わりつつあります。

    こうした背景のなか、自社の事業特性や将来的な成長戦略を勘案し、長期的な人事戦略を考えることが必要です。そのうえで、どのような人材の確保・育成が最適なのかを検討し、適切な人事制度を整備することが求められます。

    たとえば、企業の成長フェーズや業種によって、メンバーシップ型雇用を維持するのか、それともジョブ型雇用へシフトするのか、慎重に判断する必要があります。

    • メンバーシップ型雇用は、長期的な育成を前提とした雇用形態であり、特に技術職専門的な職種に適しています。新卒一括採用を主軸とし、企業内での経験を積みながら、多様な職務を経験することで、組織に適応した人材を育成することが特徴です。
    • ジョブ型雇用は、特定の職務に求められるスキルや経験を重視し、即戦力としての活躍が期待される形態です。特に専門性の高い職種高度なスキルが必要な分野において有効です。

    現在、労働市場では転職の一般化スキルベース採用の普及が進んでおり、従来のメンバーシップ型だけではなく、ジョブ型の導入を検討する企業も増えています。どちらの形態が自社に適しているのかを見極め、柔軟な雇用形態を取り入れることが、持続的な企業成長のカギとなるでしょう。

    COEとは何か?

    COE(センターオブエクセレンス)とは、特定の分野において高度な専門性を持つ組織やチームのことを指します。人事におけるCOEは、企業全体の人材戦略を支援するための専門機能を担う役割を果たします。

    COEの具体的な機能

    • 人材開発・育成:教育研修プログラムの設計やキャリアパスの構築。
    • 組織開発:社内の組織構造の最適化やエンゲージメント向上施策の立案。
    • 評価・報酬制度の設計:人事評価の仕組みや給与体系の設計。
    • 採用戦略の策定:長期的な人材確保のための計画立案。

    大手企業では、COEを「HRBP(人事ビジネスパートナー)」「SSC(シェアードサービスセンター)」とともに活用し、組織全体の人事機能を高める取り組みが行われています。

    • HRBP(人事ビジネスパートナー):各事業部門に深く関与し、経営層と連携しながら人事戦略を策定・実行する役割を担います。HRBPは単なる人事部門の延長ではなく、事業の成長を人材戦略の側面からサポートする存在であり、経営課題を人材の視点から解決する役割を果たします。
    • COE(センターオブエクセレンス):人材開発、報酬制度設計、組織開発、ダイバーシティ推進など、専門性の高い人事施策を設計し、全社的な制度・仕組みを構築する部門です。COEは、HRBPや現場のニーズを基に戦略的な人事施策を策定し、企業全体の競争力を高める役割を果たします。
    • SSC(シェアードサービスセンター):給与計算、労務管理、勤怠管理などの定型的な業務を集約し、効率的に運用する部門です。SSCを導入することで、HRBPやCOEが戦略的な業務に集中できるようになり、全体の人事機能の最適化が図られます。

    このように、大手企業ではHRBP、COE、SSCの三位一体の体制を構築することで、人事機能を強化し、経営戦略と人事戦略を連携させる仕組みを整えています。これにより、単なる労務管理ではなく、人材を企業成長の原動力とする仕組みが実現されています。

    中小企業における人事戦略の考え方

    結論として、中小企業がCOEのような高度な専門機能を持つことは現実的ではありません。しかし、人事機能を軽視することは、企業の成長を阻害する要因となります。中小企業にとって重要なのは、自社の事業規模や成長フェーズに応じて、適切な人事機能を構築することです。具体的には、人事戦略を経営戦略と連動させ、組織の成長に寄与する体制を整えることが求められます。

    中小企業が実践できる人事戦略のポイント

    • 外部の知見を活用する:専門的な知識を持つコンサルタントや外部パートナーと連携し、最適な人事戦略を策定する。
    • 継続的な学習を重視する:経営者や人事担当者が最新のトレンドや制度を学び続けることで、より適切な人事施策を実施できる。
    • 組織の成長に合わせた人事機能の強化:企業の規模が拡大するにつれ、徐々に専門性の高い人事機能を持つことを検討する。
    • シンプルな制度設計:大手企業のような複雑な人事制度を導入するのではなく、自社の実態に合ったシンプルな制度を構築する。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。
    中小企業においてCOEを持つことは現実的ではないかもしれません。しかし、経営環境の変化に対応し、自社に最適な人事戦略を考えることは不可欠です。そのためには、専門的な知見を活用しながら、学び続ける姿勢が重要です。

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