組織として生産性を上げるには、1人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できるチームを作ることが不可欠です。
企業を取り巻く環境が大きく変化する中、組織の成果を最大化するための方法として「チームビルディング」が注目されています。
しかし、大掛かりなイベントを企画したり個別のニーズに対応したりしていくのは現実に難しく、チームビルディングの必要性を感じつつも導入に苦戦している企業は少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、「OKR」を日々の業務で意識して取り組むことを提案します。
OKRは1970年代に米Intelが導入し、最近ではメルカリや花王などを筆頭に日本国内でも導入企業が増加しています。
チームビルディングと比較した上で、自社に合った手法はどちらかを検討してみてください。
経営ビジョン達成を目指す「チームビルディング」
チームビルディングとは?行う目的は?
「チームビルディング」とは、各メンバーのスキルや能力、経験を最大限に発揮し、目標を達成できるチームを作り上げていくための取り組みを指します。
具体的には
- 新入社員・若手社員の育成
- 中堅社員のリーダーシップの育成
- チームビジョンの浸透
- マインドセットの形成
- チームのコミュニケーション活性化
などにアプローチし、目標を達成できるチームを目指します。
チームビルディングによってコミュニケーションが活発になれば、個々のノウハウが共有できる、悩みを相談しやすい環境ができるといった効果が見込めます。
また、チームの一体感によって個々のモチベーションが上がり、チームの成果に反映されるといった好循環も生まれやすくなります。このように、チームビルディングは組織にとって大きなメリットが期待できます。
チームビルディングの具体例
実際にチームビルディングを導入している企業では、ゲームやワークショップの要素を取り入れた事例が多くあります。
例えば、株式会社NTTデータではボウリング大会を実施したり、株式会社レインでは合宿の中でワークショップを実施したりするなど、各社工夫を凝らした取り組みをしています。
(参考)
https://dmk.nttdata.com/teamwork/003017160120/
https://www.wantedly.com/companies/lein_co/post_articles/486818
また最近では研修やワークショップの企画や運営を担う社外サービスも多くあり、ノウハウやリソースがない場合はプロの手を借りるのも1つの方法と言えます。
チームビルディングの注意点
企業にとって様々な効果が期待できるチームビルディングですが、注意すべき点もあるため、導入は慎重に進めるべきという側面もあります。
具体的な注意点としては、
- 準備や費用を要することが多く、大掛かりで導入ハードルが高い
- ゲームやワークショップは遊びの要素が強く出てしまい、本来の目的を見失いがち
- ゲームやワークショップに苦手意識を持つ人もおり、強制されることによりモチベーション低下につながる
などが挙げられます。
中小企業がまず意識すべき「OKR」
チームビルディングの導入が難しいと感じる企業におすすめしたいのが、まずは「OKR」を意識するということです。
OKRとは?ノルマとは違う?
まず初めに、OKRについて解説します。
OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、直訳すると「目標と主な結果」という意味を指します。
GoogleやFacebook、メルカリといった有名企業が取り入れていることでも注目を集めている目標管理手法で、比較的短期間での達成を前提とした目標を設定し、こまめに進捗状況を評価しながら達成を目指します。
「目標設定」と聞くと「ノルマ」を思い浮かべる方もいるかもしれません。
OKRもノルマも、「どのような結果を出せば目標達成になるのか」という、目標の達成度を測る指標を設定するものですが、目標レベルに違いがあるため、混同しないように注意しましょう。
まず、OKRでは挑戦的な目標を設定し、目標に対して60%〜70%の達成で成功と判断します。
それに対しノルマは達成すべき“最低基準”を設定し、100%達成しなければ失敗とみなされます。
同じ数値目標であっても、OKRとして設定する場合とノルマとして設定する場合とでは意味合いが変わることを理解しておきましょう。
OKRを活用する目的とメリット
続いて、OKR活用する目的とメリットについて解説します。
OKRは、企業が目指すべき目標と社員個人の目標をリンクさせ、全社員が一丸となって重要課題に取り組むことを目的としています。
従来の目標管理では、個人目標の達成が企業にどのように貢献しているのかイメージしにくいことが大きな課題となっていました。
OKRではまず企業の目標を細分化し、それらをチームや個人の目標へ落とし込んでいきます。それぞれの目標がどのような関係性になっているのかが理解しやすく、達成による貢献度も明確に理解できるのです。
OKRを活用することによるメリットは、大きく以下の3つです。
ビジョンの共有
前述の通り、OKRではまず企業の目標を細分化し、それらをチームや個人の目標へと落とし込んでいきます。
企業としてのビジョンを社員に共有し、会社の目標と個人の目標がリンクすることによって、社員は会社での役割を明確に理解することができます。
心理的安全性の担保
従来の個人評価では、評価軸が分かりにくい・周囲の成功に嫉妬する・自分の能力を過小評価するといった状態が生まれやすく、安心して仕事に集中できないケースがよく見られます。
OKRを活用することで目標や自分の役割が明確になり、評価の納得性も増すので心理的安全性が担保され、モチベーション高く働くことができるようになります。
企業文化の向上
OKRは、全員がオープンに目標を共有し合うことが成功の鍵です。オープンにすることによって進捗を確認し合い、お互いが手を差し伸べる文化を醸成することができます。
例えば、週1回のミーティングでOKRの達成度を共有し合い、進捗が遅れている社員に対して皆でサポートしたり、お互いに褒め合ったり感謝し合ったりすることで企業文化の向上に繋がります。
OKRの導入ステップ
OKRを導入する際はどのように進めたら良いのでしょうか。
ここからは、OKRの導入ステップについてご紹介します。
ステップ① 会社のミッション・ビジョンを明文化する
OKRは会社のミッションやビジョンに基づいて立てる必要があります。そのため、OKRそのものを定める前にまずは会社のミッションやビジョンが明確になっているかを確認しましょう。
ステップ② 会社のOKRを定める
ミッションやビジョンが明確になったら、それらに基づいて会社全体のOKRを決めていきます
OKRは比較的短期間での達成を前提とした目標を設定すると前述しましたが、一般的には四半期ごとに設定していくことが多いです。
まずは次の四半期に会社としてどのような状態になりたいか、目標(Objective)を設定します。
続いて、その目標が達成できたと言えるために必要な成果(Key Result)を設定します。
これらの目標や成果は、経営陣だけが理解できても意味がありません。全従業員が理解できるような言葉で設定することがポイントです。
ステップ③ チームや個人のOKRを定める
最後に、会社のOKRに基づいてチームや個人のOKRを定めていきます
チームメンバーや直属の上司など、関連の深い人と相談しながら設定していくのがおすすめです。
また、なぜそのOKRなのか、どのように達成する計画なのかも併せて記録しておくことで、やるべきことが明確になりやすくなります。
OKRの具体例
最後に、OKRの具体例についてご紹介します。実際の例を見ることでよりイメージしやすくなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
例① 人事職のOKR
目標(Objective):5名の中途採用を達成
達成指標(Key Results)
・社員に協力依頼し、リファラルで1名採用
・求人広告を出稿し、2名採用
・エージェントと新規契約を結び、2名採用
例② 営業職のOKR
目標(Objective):売上1,000万円を達成
達成指標(Key Results)
・新規顧客開拓により、売上400万円以上
・既存顧客に対し、売上600万円以上
例③ 製造職のOKR
目標(Objective):不良品の削減
達成指標(Key Results):
・廃棄金額を100万円から70万円に削減
・1日1回以上の品質確認
まとめ
IT業界から始まったOKRですが、現在では医療や教育、サービスなど、幅広い業界・職種に広がっています。
会社の規模が大きくなるにつれて、社員の目標やモチベーションを管理するのはどんどん難しくなっていきますよね。
そんな時にOKRを定めることによって、社員の一人ひとりが何をすればいいのか、何をすべきなのかが明確になります。
また、OKRが適切に活用されることで社員のモチベーションが上がり、生産性も向上し、結果としてさらなる企業成長に繋がります。
それぞれの業界や企業風土にあわせて試行錯誤しつつ、OKRを企業の文化として根付かせていきましょう。
私たちCavitteではRPO(採用アウトソーシング)事業からコンサルティング事業まで、人事領域を中心とした様々な課題に対して、全力でサポートしていきます。
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