IT業界の離職率は本当に高い?業態別の実態と、自社・自分を判定する方法

「IT=離職率が高い」は本当か

数字を業態・層・求人票の3つに分けると、答えは一つに絞れます

IT業界の離職率は約12%。全産業平均の15%台より、むしろ低い水準です。それでも「IT=すぐ辞める」という印象が消えないのは、業態によって離職の起こり方が大きく違うから。自社開発とSESでは、同じ「IT」でも別世界です。ここでは平均値を貼るだけで終わらせず、「自社の離職率は高いのか」を測る式、業態ごとの実態、辞める層別の対策、求人票からブラック企業を見分ける基準まで、採用する側と働く側の両方が自分の状況を判定できる形に落とし込みます。

📋 目次

  1. IT業界の離職率は本当に高い?まず結論
  2. 自社の離職率が高いか判定する式と落とし穴
  3. 業態で離職率はここまで違う
  4. 層別に見る「辞める理由」と打つ手
  5. 求人票から高離職の会社を見分ける8シグナル
  6. 今の職場、辞めるべきか続けるべきか診断
  7. メンタル不調は離職の前兆
  8. やりがちな離職対策の失敗
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ:今日やる順番

📊IT業界の離職率は本当に高い?まず結論

結論:情報通信業(IT業界)の離職率は約12%台で、全産業平均の15%台より低めです。「IT=離職率が高い」は印象が先行した通説で、業界全体で見れば当てはまりません。ただし業態を分けると差は非常に大きく、平均値だけを見ても判断はできません。

厚生労働省の雇用動向調査によると、情報通信業の離職率はおおむね12%前後で推移しています。同じ調査での全産業平均は15%台。数字だけを並べれば、IT業界はむしろ「辞める人が少ない側」です。

12.4%

情報通信業

令和6年 離職率(厚労省 雇用動向調査)

15.4%

全産業平均

2023年 離職率(同調査)

31.5%

新卒3年以内

大卒・情報通信業(令和4年3月卒/要確認)

「高い」という印象はどこから来るのか

数字が平均並みなのに印象が悪いのには理由があります。ひとつは、離職の話題が集まりやすいSES・客先常駐の声が、業界の代表イメージとして広まっていること。もうひとつは、転職市場でのスキルの流動性が高く、「前向きな転職」まで離職として語られやすいことです。

つまりIT業界の離職には、追い込まれて辞める離職と、市場価値を上げるために動く離職が混在しています。この2つを分けずに「高い・低い」を論じるから、話がかみ合いません。

ここで止まらない:平均値は「自社が高いか」の答えにはなりません。次章で、自分の会社・自分の状況が業界のどこに位置するのかを測る道具を渡します。ここでは「IT全体は平均並み。ただし中身は業態で割れている」とだけ押さえてください。

厚労省出典:厚生労働省「雇用動向調査」「新規学卒就職者の離職状況」。数値は年で変動するため、比較時は同一年・同一調査で揃えてください。

🧮自社の離職率が高いか判定する式と落とし穴

即答:離職率は「退職者数 ÷ 平均従業員数 × 100」で出します。ただし分母に誰を含めるかで数字は大きくぶれます。まず自社の計測ルールを固定し、そのうえで業界平均(約12%)と比べてください。

「うちの離職率は高いのか」を答えるには、まず正しく測る必要があります。ところが多くの会社は計算のルールがバラバラで、他社や業界平均と比べても意味のない数字になっています。

📐 離職率の基本式

離職率(%) = 期間中の退職者数 ÷ {(期首従業員数+期末従業員数) ÷ 2} × 100

例:期首100人・期末110人(平均105人)で、1年間に14人が退職 → 14 ÷ 105 × 100 = 13.3%。業界平均12%台と近く、「やや高い程度」と読めます。

数字がぶれる3つの落とし穴

落とし穴何が起きるか
出向者の扱いSES・派遣で客先常駐している社員を分母に入れるか外すかで、率が大きく変わる。含めないと分母が小さく、率が跳ね上がる。
定年・契約満了自己都合退職と定年退職を混ぜると、離職の質が見えない。「防げた離職」を測りたいなら自己都合だけで別集計する。
計測期間会計年度か暦年か、入社日基準か在籍日基準かで結果が動く。毎年同じ定義で測らないと推移が読めない。

注意:同じ会社でも「本社正社員だけ」で測れば8%、「客先常駐を含む全社員」で測れば14%になることがあります。求人票や採用ページの「離職率〇%」は、この定義次第でいくらでも良く見せられます。数字を鵜呑みにせず、必ず「誰を分母にした数字か」を確認してください。

自社が高いかを読む早見表

自社の離職率読み方と初動
〜10%業界平均以下。定着は良好。原因分析より、辞めた人の質(優秀層かどうか)を見る段階。
10〜15%業界平均圏。全体では問題なし。ただし後述の「層別」で偏りがないか要確認。
15〜20%平均超え。特定の層・部署に離職が集中していないかを最優先で調べる。
20%〜構造的な問題の可能性大。給与体系・労働時間・評価のどれかが壊れている前提で診断へ。

数字が出たら、全体率で一喜一憂せず「どの層が抜けているか」に進みます。全体13%でも、中身が「新卒だけ毎年抜ける」なら打つ手はまったく変わります。

🏢業態で離職率はここまで違う

即答:同じ「IT業界」でも、自社開発・受託開発・SES/派遣・社内SEでは離職の起こり方が別物です。SESの離職が目立つのは職場が悪いからではなく、給与とスキルが構造的に頭打ちになりやすいから。まず自社(自分)がどの業態かを確定させます。

離職率を業態で分けずに語ると、必ず的を外します。ここが上位記事の多くが飛ばす、最も差の出るポイントです。

以下の業態別レンジは公的統計の確定値ではなく、業態構造から見た目安・傾向です。自社の数字は前章の式で必ず実測してください。

業態離職の目安離職が起きる主因
自社開発
(自社サービス)
低めプロダクトへの帰属意識が働きやすい。裁量と技術選択の自由が定着を支える。抜けるのは「もっと上流へ」の前向き転職が中心。
受託開発納期プレッシャーと案件ガチャ。炎上案件が続くと一気に抜ける。技術は身につくが労働時間が読めない。
SES・派遣
(客先常駐)
高め契約単価と給与が連動しにくい/帰属意識が育ちにくい/評価が客先で見えにくい/案件次第でスキルが偏る。環境ではなく仕組みの問題。
社内SE
(事業会社IT)
低〜中労働時間は安定しやすいが、最新技術に触れにくく「置いていかれる不安」で動くことがある。

SESの離職はなぜ構造的なのか

SESで離職が目立つ理由を「ブラックだから」で片づけると対策を誤ります。核心は給与の決まり方です。

💰 SES給与が頭打ちになる仕組み(一例・試算)

客先単価 50万円 のうち、営業利益・管理費・福利厚生で3〜4割が引かれる → エンジニアの原資は月30万円前後。

現場でどれだけ成果を出しても、単価が上がらなければ給与は動きにくい。新卒22万スタートで昇給が小さいと、数年で「これ以上増えない」感覚に達します。これがSES特有の離職圧です(数値は構造理解のための例で、企業により大きく異なります)。

加えて、客先常駐では「自社の同僚と働かない」時間が長く、会社への帰属意識が育ちにくい。評価も客先での貢献が自社に伝わりにくく、頑張りが給与や昇進に結びついている実感を持ちにくい。給与・帰属・評価の3つが同時に効きにくいから、離職が構造的に高くなります。

だから見極めが効く:SESでも、単価をエンジニアに還元する会社、自社勉強会や帰社日で帰属を作る会社、案件選択に本人の意向を反映する会社は定着します。「SESだからダメ」ではなく「この仕組みがあるか」で判断してください。見分け方は第5章のシグナルで具体化します。

📈層別に見る「辞める理由」と打つ手

即答:離職は「新卒〜3年」「4〜7年」「8年以上」で理由がまったく違います。若手は研修・メンター不足、中堅は給与上限とキャリアの詰まり、ベテランは待遇の相対的な見劣り。全体率でなく、どの層が抜けているかで打つ手を変えます。

全体離職率が同じ13%でも、内訳が「新卒が毎年抜ける」のか「5年目が静かに転職する」のかで、対策は正反対になります。層を特定してから手を打ってください。

入社〜3年目

若手:成長実感が持てず抜ける

放置OJT・メンター不在・案件が雑用寄りで「伸びている感覚」が得られないと辞める。給与より「この環境で成長できるか」が判断軸。

  • 採用側の確認:OJTは仕組み化されているか/1on1は実施されているか/初期配属で成長機会があるか
  • 効く手:メンター制度、四半期ごとのスキル目標、初年度の伴走

4〜7年目

中堅:給与上限とキャリアの詰まりで動く

「これ以上昇給しない」「PMにもアーキにもなれる道が見えない」という天井感が引き金。市場価値が最も高い層で、放置すると優秀な人から抜ける。

  • 採用側の確認:昇給の実績幅/PM・スペシャリストへの分岐が用意されているか/社外研修費の有無
  • 効く手:複線型キャリア(管理職/専門職)、昇給レンジの明示、裁量拡大

8年目以降

ベテラン:待遇の相対低下で選別離職

転職市場の相場が上がる中、自社の待遇が据え置きだと相対的に見劣りして動く。ロールモデル不在(上が詰まっている)も引き金。

  • 採用側の確認:役員・部長の給与実績が見えるか/マネジメント職の処遇/副業許可
  • 効く手:トップ層のキャリアパス可視化、市場連動の待遇見直し、外部での挑戦機会

対策は「優先順位」で決める

予算も人手も限られる以上、全層に一律で手を打つのは非効率です。次の順で絞ってください。

1

抜けている層を特定する

退職者を入社年次で分類。どの層に集中しているかを数える。

全体率より「層の偏り」が打ち手を決める

2

その層の主因に絞って一手

若手なら研修・伴走、中堅なら給与とキャリア分岐。他層には広げない。

3

3〜6か月後に再測定

同じ式で測り直し、その層の離職が動いたかを確認。効かなければ主因の見立てを修正。

🔍求人票から高離職の会社を見分ける8シグナル

即答:離職率が高い会社は、求人票に痕跡が出ます。「客先常駐あり」の明記、給与幅が広すぎる、古い技術に固定、30代現場エンジニアの事例が少ない——このあたりが並ぶ求人は警戒信号です。ここは働く側・転職検討者向けの判定パートです。

公開された離職率は定義でごまかせますが、求人票の書き方には会社の実態がにじみます。以下の8つが複数当てはまるほど、離職リスクは上がると考えてください。

  • 1「客先常駐あり」が前面に出ている自社に居場所がなく帰属が育ちにくい。SES構造の給与・評価リスクを伴いやすい。
  • 2給与幅が広すぎる(例:月25〜60万)同じ等級でも待遇差が大きい=評価が属人的。若手が低く据え置かれやすい。
  • 3技術スタックが古い技術に固定特定の古い言語・保守案件のみだと、スキルが市場で使いにくくなり将来の不安につながる。
  • 430代以上の現場エンジニア事例が少ない中堅が上がって(または残って)いない証拠。キャリアの階段がない可能性。
  • 5残業時間・平均を明示していない書けない事情がある場合がある。面接で必ず実数を確認する。
  • 6「アットホーム」「若手活躍」ばかりで制度の記載がない雰囲気語が多く、評価・昇給・研修の仕組みが書かれていないのは要注意。
  • 7常時大量募集・複数職種を通年で募集入っては抜けるサイクルの可能性。募集の継続期間を口コミ等で確認する。
  • 8健康・メンタル面の記載がゼロ労働時間管理や復帰支援に触れていない会社は、負荷が高い可能性がある。

使い方:1〜2個なら誤差の範囲。3個以上が重なったら、面接で「離職率の定義」「残業実数」「5年目の給与例」を具体的に質問してください。答えを濁す会社は、そこに事情があります。

🧭今の職場、辞めるべきか続けるべきか診断

即答:辞めどきは「機能離職」か「成長離職」かで判断が逆になります。搾取や成長不可が理由なら早めに動くべき。前向きな理由(次の挑戦)なら、社内異動という選択肢も残ります。まず自分の不満が業態要因か個社要因かを切り分けます。

「なんとなく辞めたい」で動くと、次も同じ悩みを繰り返します。今の不満が「この会社の問題」なのか「この業態の構造」なのかを分けるところから始めてください。

◤ 辞めどき切り分けフロー ◢

A

機能離職のサイン

残業が常時60時間超/給与が2年以上動かない/メンター・相談先がいない/理不尽な叱責が日常。→ 環境が壊れている。早めの転職を推奨。

B

成長離職のサイン

環境は悪くないが、スキルの伸びしろに天井を感じる/新しい領域に挑戦したい/PMやアーキを目指したい。→ 転職も社内異動も選べる。

C

切り分けの問い

「同じ不満は転職先でも起きるか?」業態構造(SESの給与上限等)が原因なら業態を変える。個社の運用が原因なら同業態の別社でも改善する。

タイプ別の次の一手

タイプ判断次の一手
機能離職(A)環境要因。我慢は消耗を深めるだけ。在職しながら情報収集を開始。求人票は第5章のシグナルで選別。心身の不調があれば最優先で離脱。
成長離職(B)前向き。急がなくてよい。まず社内で異動・役割変更を打診。通らなければ、身につけたい技術が主業務になる会社へ。
業態ミスマッチ不満の根が業態構造。同業態内では解決しない。SES→自社開発など業態そのものを変える。転職の軸を「業態」に置く。

ポイント:「今の不満は転職先でも再現するか」を一度問うだけで、無駄な転職を避けられます。個社要因なら同業態の別社で足りることも多い。業態要因なら、思い切って業態を変えたほうが根本的に楽になります。

⚠️メンタル不調は離職の前兆

即答:情報通信業は、心身の不調で長期休業・退職した人がいた事業所の割合が高い水準にあります(厚労省調査/要確認)。離職は突然ではなく、長時間労働→睡眠不足→パフォーマンス低下という連鎖で進みます。前兆を仕組みで拾うことが、最も費用対効果の高い離職対策です。

離職を「辞表が出てから」対応するのでは遅い。多くのケースで、退職の数か月前から兆候が出ています。採用側は早期に拾い、働く側は自分の危険信号として使ってください。

辞める前に出やすいサイン

  • 残業が常態化し、月60時間超が続く睡眠が削られ、判断力とモチベーションが落ちる入口。
  • 1on1やチャットでの発言が急に減る関与の低下は、心が離れ始めたサインのことがある。
  • ミスの後の自責が強い/表情が硬い抑うつ傾向の初期に見られる。放置すると休職・退職に進みやすい。
  • 有給の取り方が「単発の休み」から「まとめ休み」に変わる疲労の蓄積、あるいは転職活動の可能性。

やってはいけない:「気合が足りない」「みんな通る道」で片づけること。心身の不調は精神論では戻りません。長時間労働の是正、業務量の再配分、必要なら専門窓口への接続を、兆候の段階で行ってください。

効く仕組み:①労働時間の可視化と上限アラート、②月1回の短い1on1、③匿名で回答できる状態アンケート。この3つがあるだけで、前兆を早期に拾えます。制度がない会社は、離職を「起きてから」しか対処できません。

働く側にとっても同じサインは判断材料です。睡眠が削れ、休んでも回復しない状態が続くなら、それは根性の問題ではなく環境の問題。第6章の機能離職フローに戻って、離脱を検討してください。

🚫やりがちな離職対策の失敗

即答:離職対策の失敗は、たいてい「層を見ずに全員へ一律の施策を打つ」ことから起きます。中堅が給与で抜けているのに福利厚生を足しても効きません。原因と施策がズレると、コストだけかかって数字は動きません。

費用をかけたのに離職が下がらない会社には、共通のパターンがあります。自社が同じ轍を踏んでいないか点検してください。

失敗1:全員一律の福利厚生を足す

社食やイベントを増やしても、給与上限で抜ける中堅には響かない。原因と施策の層がズレている。

改善:抜けている層を特定し、その層の主因(中堅なら給与・キャリア)に絞る。

失敗2:単発の研修で満足する

一度きりの研修は「やった感」だけ残る。若手が求めるのは日々の伴走と成長の道筋。

改善:メンター制度と四半期のスキル目標で、継続的な成長実感を設計する。

失敗3:退職者にだけ理由を聞く

辞める人へのヒアリングは本音が出にくく、手遅れ。残っている人の不満は見えない。

改善:在職者への匿名アンケートで、辞める前の兆候を定点観測する。

失敗4:離職率の数字だけ追う

全体率を下げることが目的化し、「誰が辞めたか」を見ない。優秀層の流出を見逃す。

改善:率だけでなく、辞めた人の評価・等級・層をセットで記録する。

共通点:4つとも「診断せずに手を打っている」点が同じです。まず測る、層を特定する、主因に一手。この順番を飛ばした施策は、ほぼ空振りします。

❓よくある質問(FAQ)

Q. IT業界の離職率は本当に高いのですか?

情報通信業の離職率は約12%台で、全産業平均の15%台より低めです。「高い」という印象は、SES・客先常駐の声や前向きな転職が目立つことから来ています。業界全体では高くありません。

Q. SESはやめたほうがいいですか?

一律に「やめとけ」とは言えません。離職が起きやすいのは給与が単価に連動しにくい、帰属や評価が育ちにくいといった構造が理由です。単価還元・帰社日・案件選択の仕組みがある会社なら定着します。第5章のシグナルで見分けてください。

Q. 自社の離職率は何%以下を目指すべきですか?

絶対的な正解値はありませんが、業界平均の12%前後が一つの目安です。ただし全体率より「特定の層に集中していないか」が重要。10%でも優秀な中堅ばかり抜けているなら、その方が深刻です。

Q. 若手が3年で辞めます。何から手を付ければいい?

若手離職の主因は成長実感の欠如です。メンター制度、四半期ごとのスキル目標、初年度の伴走から着手してください。給与を上げるより、伸びている感覚を作るほうが効きます。

Q. 離職率と定着率・入職率はどう違いますか?

離職率は「出ていく人の割合」、定着率は「入った人が残る割合」、入職率は「新しく入る人の割合」です。「入職率<離職率」が続くと人員が純減し、残る社員の負荷が増えて離職がさらに加速します。

Q. エンジニアが辞める前兆はありますか?

発言や関与の急な減少、まとめて休むようになる、ミス後の自責が強い、といった変化が出やすいです。月1回の1on1と匿名アンケートで、辞表が出る前に拾うのが有効です。

✅まとめ:今日やる順番

IT業界の離職率は、全体で見れば平均並み。振り回されるべきは「高い・低い」という印象ではなく、自社・自分がどの構造にいるかです。今日から動く順番を置いておきます。

離職を判断に変える5ステップ

  • 測る:退職者÷平均従業員数で自社の率を出す。分母の定義を固定し、業界平均12%台と比べる。
  • 業態を確定:自社開発/受託/SES/社内SEのどれか。SESなら給与・帰属・評価の仕組みを点検。
  • 層を特定:退職者を入社年次で分類。新卒・中堅・ベテランのどこが抜けているかを数える。
  • 一手に絞る:若手=伴走と研修、中堅=給与とキャリア分岐。全層一律はやらない。
  • 再測定:3〜6か月後に同じ式で測り直し、狙った層が動いたかを確認する。

働く側なら、順番はこうです。まず不満が機能離職(環境)か成長離職(前向き)かを切り分ける。次に「同じ不満は転職先でも起きるか」を問い、業態要因なら業態を変える。求人票は8シグナルで選別する。この3つで、なんとなくの転職を避けられます。

まず「自社の離職率」を正しく測るところから

層別に分解すれば、打つべき一手は自然に絞れます。数字の可視化や制度設計は、社内での実測とセットで進めるのが近道です。

※本記事の統計値は厚生労働省「雇用動向調査」「新規学卒就職者の離職状況」「労働安全衛生調査」等に基づく一般的な水準で、調査年により変動します。比較の際は同一年・同一調査で揃えてください。業態別の離職レンジおよびSES給与の試算は、業態構造から見た目安・傾向であり公的な確定値ではありません。自社の数値は本文の計算式で実測してください。個別の労務・キャリア判断は、社内規程や専門家への相談とあわせてご検討ください。