採用コストとは?一人あたりの採用コストって平均どれくらいかかるの?(新卒採用編)

今回は前回の中途採用編に続き、新卒採用編をお届けします。

新型コロナの影響により2021年度の新卒採用は大きな変革が起きました。それは採用活動のオンライン化です。これまでは大型の合同企業説明会に参加して、学生とリアルに接触することで母集団を形成するというのが主流でしたが、コロナの感染拡大防止のため就職イベントが相次いで中止となり、企業はWEBで会社説明会を行うようになりました。また、面接もWEBで行うようになり、非対面での選考が可能になりました。

一見採用活動のオンライン化はネガティブなイメージになりそうですが、実は企業、学生双方にとってもメリットがあります。まず、企業側のメリットはWEBでの説明会や面接を実施することにより、日本各地の学生がエントリーしやすくなり、結果的に募集範囲が広がったということです。では学生側のメリットはというと、就活での出費が節約できるということです。特に地方の学生は交通費、宿泊費、移動時間など就活での出費は非常に大きいものがありました。以上のように採用のオンライン化は企業、学生双方にとってメリットがあります。

それでは新卒採用の採用コストはどういうものがあり、企業はどれくらいかけているのか。またオンライン化で採用コストは変わるのかについて考えていきたいと思います。

採用コストとは?

採用コストとは採用に関わる全ての費用のことを言い、大きく「外部コスト」と「内部コスト」の2つに分けられます。

「外部コスト」

外部コストとは、採用活動で社外に支払うコストのことで、具体的には以下のようなものがあります。

  • 新卒採用ナビ掲載費
  • 合同企業説明会などイベント参加費
  • 個別説明会での会場費
  • 会社案内や採用パンフレット作成・印刷費
  • 自社採用ホームページの制作費
  • 県外イベント参加にかかる出張費
  • 内定者フォローにかかる費用(懇親会費等)

新卒採用の外部コストに関してはざっと挙げてみてもこれだけあります。特にコストの大部分を占めるのは、採用ナビ掲載費やイベントの参加費などの広告費です。これは採用を成功させるためには学生の母集団をなるべく多く形成することが、最良の手段として定着しているためです。それに加え他社と差別化するため、合同企業説明会での企業ブースの装飾にお金をかけることも。とにかく新卒採用にはかなりの外部コストがかかります。

「内部コスト」

内部コストとは、採用活動で社内にかかるコストのことです。具体的には以下のようなものがあります。

  • 採用担当者の人件費(採用活動時間×時給)
  • 合同企業説明会やインターンに参加する現場スタッフの人件費
  • 面接官の人件費
  • 内定者フォローにかかる人件費(内定者研修の実施等)

新卒採用の内部コストも中途採用と同様、正確に把握することは難しいのですが、とても大きなコストになります。まず採用担当者は採用活動計画を策定したあと、その活動に必要なマンパワーを試算し、採用体制を構築していきます。特に業務などのリアルな情報を提供するため、現場スタッフにも合同企業説明会に参加してもらうなど社内の協力が欠かせません。しかし、あまりに頻繁に現場スタッフを参加させると、その現場スタッフの本業に使う時間を減らすことになり、本業の機会損失が増えてきます。採用担当者は策定した採用活動計画と、投入できるマンパワーとのバランスを見ていく必要があります。

新卒採用の平均の採用コストは?

マイナビが実施した調査(2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査)において、採用全体にかかる費用としては1社あたり平均約493.4万円というデータがあります。

■採用費総額平均

全体:約493.4万円(上場企業:約1,531.8万円/非上場企業:約371.5万円)

■入社予定者1人あたりの採用費平均(1社ごとに採用費を入社予定の人数で割った数値の平均値)

全体:約53.4万円(上場企業:約54.3万円/非上場企業:約53.2万円)

1人あたりで見ると平均53.4万円と上場企業も非上場企業もほぼ変わらない金額となっています。特にここ数年は新卒採用の有効求人倍率が上がり続け、売り手市場となったことで企業も採用にかかる費用を増やしていかざる負えない状況となっていました。

オンライン化で採用コストはどうなるか?

ではオンライン化で採用コストはどうなるのか。

結論から言うと採用活動のオンライン化で採用コストを下げることは可能だと考えます。ただし、これまでのように採用ナビ会社をフルに活用するとコストはそんなに変わらないでしょう。コストを下げるには採用ナビ会社に依存しない採用活動の仕組みを構築することが必要になります。

ただ、すべての仕組みを自社のみで構築するのは難しいので、例えば入口の部分については採用ナビ会社を活用し、その後の活動は企業の特徴を活かして独自に実行していく。そうすることで企業の採用ブランドの構築にも繋がっていくと考えます。

2022年の新卒採用を予定されている企業は、オンラインを活用した独自の採用活動の構築を検討してみてはいかがでしょうか。

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