離職率とは、ある期間のはじめに在籍していた人のうち、その期間に辞めた人の割合のことです。計算式は「退職者数÷起算日の在籍者数×100」で出せます。同じ会社でも分母に誰を入れるか、いつを起算日にするかで数字は大きく動きます。全体の率だけを見ると、入社1年以内で辞める早期離職が隠れます。社員が10人前後の会社では、退職1人で率が10%跳ね上がり、数字だけでは危険かどうか判断できません。全体・入社1年以内・実人数の3点で読み、沖縄と全国の実データを基準に自社の位置を確かめる手順を示します。
離職率の計算方法は?基本の式と計算例
離職率とは、ある期間にやめた人数を起算日の在籍者数で割った割合のことです。式は「離職者数÷起算日の在籍者数×100」。在籍30人で1年に3人やめれば10%です。起算日をいつに置くかで、同じ会社でも数字は動きます。
離職率の基本の計算式
計算式は次の1本です。
- 離職率(%)= 一定期間の離職者数 ÷ 起算日の在籍者数 × 100
必要なのは3つだけです。
- 期間(例:2025年4月1日〜2026年3月31日の1年間)
- 起算日の在籍者数(期間の初日に在籍していた人数)
- その期間にやめた人数
計算例:在籍30人・退職3人なら10%
起算日の在籍者30人、1年でやめた人が3人なら、3÷30×100=10%です。
- 在籍30人・退職3人 → 3÷30×100=10%
- 在籍30人・退職6人 → 6÷30×100=20%
- 在籍50人・退職3人 → 3÷50×100=6%
同じ3人でも、分母が30人か50人かで10%と6%に分かれます。分母の人数が小さいほど、1人の増減が率を大きく揺らします。
厚労省方式と自社方式はどう違うか
厚生労働省『雇用動向調査』(2026年10月時点で公表中の定義)は、分母を1月1日時点の常用労働者数とし、パート・試用期間中の人も含めます。分子はその年にやめた人で、解雇や他社への出向を含み、社内の異動・転籍は含めません。暦年(1〜12月)で区切る統計上の基準です。
自社で出す場合は、年度初日や会計期首を起算日に置く会社が多いです。採用計画や予算と期間がそろい、離職の波を実務の区切りで追えるためです。
| 項目 | 厚労省方式 | 自社方式 |
|---|---|---|
| 起算日 | 1月1日 | 年度初日・会計期首 |
| 期間 | 暦年(1〜12月) | 事業年度 |
| 分母 | 常用労働者(パート・試用含む) | 自社で定義 |
どちらも式は同じで、起算日と分母の取り方だけが違います。全国平均と比べるなら厚労省方式、自社の採用計画と並べるなら自社方式が合います。
絶対に採用してはいけない人 5つの特徴 チェックシート
採用のミスマッチを防ぐために、面接で見逃してはいけない5つの特徴と、誤った採用のリスクを整理しています。
分母に誰を入れる?正社員だけか全員かで数字が変わる
離職率の分母は「正社員のみ」「パート・アルバイトを含む全員」「中途入社者を含める・含めない」で変わります。同じ退職者数でも、分母の取り方だけで率は2倍近くずれます。先に分母の範囲を決めてから計算してください。
正社員のみで出す場合と全員で出す場合
退職者が同じ2人でも、分母が変われば数字は別物になります。
| 分母の取り方 | 分母 | 退職者 | 離職率 |
|---|---|---|---|
| 正社員のみ | 20人 | 2人 | 10.0% |
| パート含む全員 | 40人 | 2人 | 5.0% |
人手が雇用形態で偏る会社ほど差が開きます。労務管理の実務では、雇用形態ごとに分けて出すと原因が見えやすくなります。採用の見極めに不安がある場合は面接の質問項目チェックシート(無料)も使えます。
期中入社・退職者の扱い
期の途中で入社し、その期に辞めた人を分母・分子に入れるかで率は動きます。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2025年11月28日公表)の3年以内離職率は、起算した集計期間内の入退社をそのまま追う方式です。社内で出すときは、次の基準で統一します。
- 期首在籍者だけを分母にするなら、期中入社者は分母・分子に入れない
- 期中入社者の早期離職を見たいなら、別枠で入社年次ごとに集計する
自社で固定すべき3つのルール
数字を毎年比べるには、計算の前提を固定します。
- 起算日:年度初め(4月1日)など、毎年同じ日にそろえる
- 分母の対象:正社員のみか全員か、雇用形態の範囲を文章で決める
- 集計期間:1年なら1年、12か月で毎年同じ区切りにする
この3点を変えずに回すと、前年比較が初めて意味を持ちます。
なぜ入社1年以内の離職率を別に出すのか
全体の離職率とは別に入社1年以内の離職率を出すのは、問題が「採用のミスマッチ」か「受け入れ・教育」かを切り分けるためです。全体の数字だけでは、辞めているのが新人か既存社員かが見えません。
入社1年以内離職率・3年以内離職率の計算式
- 入社1年以内離職率=入社1年以内の離職者数÷その年の入社者数×100
- 3年以内離職率=入社3年以内の離職者数÷その年の入社者数×100
- 計算例:ある年に新卒5人を採用し、1年以内に2人が退職した場合は2÷5×100=40%
分母は「その年に入った人数」に固定します。全体の離職率のように在籍者を分母にすると、新人の離職が薄まって見えなくなります。
全体の数字では見えないもの
全体の離職率が10%でも、入社1年以内に限ると40%ということは起こります。既存社員が長く残る一方で、新人だけが抜けている状態です。この構造は全体の1本の率では把握できません。入社年ごとに分けて初めて、入ってすぐ辞める若手が出る理由に手を打てます。
早期離職率が高いときに疑う2つの原因
早期離職率が高い会社は、次の2つを順に確認します。
- 採用のミスマッチ:求人票や面接での説明と、実際の仕事・待遇がずれている
- 受け入れ・教育:入社後の指導役や初月の育成計画が決まっていない
約1,600名の面接実績から見えているのは、入社後1〜3か月で辞める人は、採用時の説明と現場のギャップが引き金になりやすいという傾向です。面接で聞いた話と配属後の実態が違うと、早い段階で気持ちが離れます。見極めや求人の説明に不安があれば、採用の進め方を相談する段階で整理できます。
自社の離職率は高い?沖縄と全国の比較基準
自社の離職率が高いかどうかは、全国平均だけで比べると判断を誤ります。沖縄は新卒の早期離職が全国を大きく上回るため、沖縄の数字を基準に置いて読みます。
新卒3年以内離職率の沖縄と全国の差
沖縄の新規学卒者3年以内離職率は、高卒49.7%(全国37.9%)、大卒43.4%(全国33.8%)です(沖縄労働局2025年11月28日公表、2026年10月時点)。1年目だけでも高卒27.4%(全国17.9%)、大卒17.1%(全国12.1%)と差が開きます。全国平均に照らして「低い」と見えても、沖縄基準では平均内という場面が起きます。
業種によって平均が違う
離職率の平均は業種で変わります。接客・給仕、介護、建設などは人の入れ替わりが起きやすく、全産業の平均より高く出ます。全産業の数字と自社を並べると、同業では普通の水準でも低く見積もってしまいます。沖縄で離職が起きやすい背景は業種ごとの事情を扱った記事で整理しています。
どの数字と比べれば判断を誤らないか
比較は次の3段で見ます。1段だけで結論を出さないことが読み違いを防ぎます。
- 全国平均:最低ラインの目安。下回っても安心材料にしない
- 同業種:接客や介護は平均が高い前提で、同じ業種の水準と並べる
- 自社の前年:数字が上がったか下がったか、方向を確かめる
3段のうち「同業種」と「自社の前年」を外すと、沖縄の中小企業は自社を甘く評価します。
採用担当がいない・応募が来ない・採ってもすぐ辞める。どこから手をつけるかの整理から相談できます。
社員が少ない会社の離職率はどう読む?
社員10〜30人規模の会社では、退職1人で離職率が数%〜十数%跳ねます。率だけ見ると毎年乱高下して読めません。率・実人数・退職理由の3点をセットで記録し、単年ではなく3年の動きで判断します。
社員数別・退職1人あたりの離職率
同じ「退職1人」でも、母数が違えば率は大きく変わります。
| 期首在籍 | 退職1人の離職率 | 退職2人の離職率 |
|---|---|---|
| 10人 | 10.0% | 20.0% |
| 30人 | 3.3% | 6.7% |
| 50人 | 2.0% | 4.0% |
10人と50人では、同じ1人でも率が5倍違います。少人数ほど1人の重みが大きく、率は実態より激しく動きます。
率だけで判断してはいけない理由
母数が小さい年ほど、率は偶然で乱高下します。読み違いを防ぐ基準は次の3点です。
- 在籍30人未満は、率より退職の実人数を先に見る
- 単年の率で良し悪しを決めず、3年の移動平均で傾向を見る
- 1人の退職が自己都合か会社都合か定年かで、意味が変わる
たとえば定年退職1人で率が上がった年と、入社半年の自己都合が重なった年は、数字が同じでも対応はまったく別になります。
率と実人数をセットで記録する
毎年同じ列で残すと、翌年以降の比較ができます。記録フォーマットの最低限はこの4列です。
- 期首在籍数(起算日を全社で統一する)
- 退職者数(実人数)
- 離職率(%)
- 退職理由区分(自己都合/会社都合/定年)
退職理由区分を分けておくと、定年による自然減と、職場要因の離職を切り分けられます。自己都合が続く年は、辞めた人が口にしない本当の退職理由まで踏み込んで棚卸しします。率の数字より、この理由の中身が次の打ち手を決めます。
離職率を出したあと、何を見直すか
離職率は現状把握の入口です。数字が出たら「どこから手を入れるか」を決めます。株式会社Cavitteは採用の成功を人数ではなく「戦力化×定着」で考えます。採用段階の見直しと受け入れ段階の見直しを分けて進めます。
数字が高いときの優先順位
原因は広く探すと止まります。次の順で範囲を絞ります。
- 入社1年以内の離職率を最初に見る(採用のミスマッチが出やすい)
- 次に部署別で高い現場を特定する(受け入れ・指導の差が出る)
- 最後に全体の率で会社全体の傾向を確認する
この3段階で、原因を「採用」か「受け入れ」のどちらかに切り分けます。
入社1年以内が高いときにまず触る場所
1年以内の率が高い場合、見直す場所は2つに分かれます。採用段階と受け入れ段階です。
| 段階 | 見直す対象 | 具体 |
|---|---|---|
| 採用 | 求人票・面接 | 仕事内容と条件を実態どおりに書く |
| 受け入れ | 入社後30日・90日 | 役割・評価基準を初日に伝える |
採用段階で応募が来る原因や面接の見極めに自信がないときは、採用の進め方を相談する方法もあります。受け入れ段階の施策は人が辞めない職場をつくる具体策で整理しています。
数字を毎期追うための最小の運用
離職率は1回出して終わりにしません。比較できる形で残すことが条件です。
- 起算日(例:4月1日)と分母の定義を固定する
- 四半期ごと(年4回)に実人数で記録する
- 全体・入社1年以内・退職実人数の3点を並べる
起算日と分母を変えると前期と比べられません。固定したルールで四半期ごとに記録すれば、2〜3期で傾向が読めます。
よくある質問
離職率の分母は正社員だけ?パートも入れる?
何を知りたいかで変えます。正社員の定着を見るなら分母は正社員のみ、会社全体の人の出入りを見るなら全員を入れます。両方を別々に出すと読み違いが減ります。境目になるのは契約社員や試用期間中の人で、どちらに入れるかを決めたら毎年同じ定義で固定します。定義を年ごとに変えると前年比が無意味になります。
期の途中で入社してすぐ辞めた人は離職率に含める?
厚生労働省方式や新規学卒者の3年以内離職率では、起算日の在籍者が分母のため、期中入社ですぐ辞めた人は基本的に含めません。自社方式で含めたい場合は、分母にも期中入社者を加えて分子と扱いをそろえます。片方だけに入れると率が実態より高く出ます。早期離職を追うなら入社1年以内の率を別に出すほうが実態をつかめます。
新卒3年以内離職率と全体の離職率は何が違う?
分母が違います。3年以内離職率は分母が「その年の新卒入社者数」に固定され、採用の質と定着を測る指標です。全体の離職率は全在籍者が分母で、会社全体の人の出入りを見ます。沖縄の高卒3年以内離職率は49.7%、大卒43.4%(沖縄労働局、2025年11月28日公表)で、全国より10ポイント前後高く、全体の率とは別物として追う価値があります。
社員が10人の会社で離職率10%は高い?
率だけでは判断できません。10人の会社は退職1人で10%、2人で20%になり、1人の増減で数字が暴れます。この規模では実人数、退職理由、過去3年の推移を合わせて読みます。偶発的な1人なのか、入社1年以内が続けて辞めているのかで意味が変わります。母数が小さいほど率より実人数と理由を優先して見ます。
自社の離職率は何%なら危険水域?
一律の基準はありません。判断軸は3つで、全国平均、同業種の水準、自社の前年と比べます。どれかより明確に高く、特に入社1年以内の率が全体を押し上げているなら注意が必要です。沖縄は完全失業率3.1%、充足率11.5%(沖縄労働局、2026年7月分)と採りにくい市場のため、辞める1人の重みが本土より大きい前提で読みます。
まとめ
離職率は分母と起算日の決め方で数字が変わります。まず自社の目的に合わせて分母(正社員のみか全員か)と起算日を1つ決め、毎年固定します。次に全体の率、入社1年以内の率、退職の実人数の3点を出します。沖縄の高卒3年以内離職率49.7%・大卒43.4%(沖縄労働局、2025年11月28日公表)や全国平均と比べ、自社がどこに位置するかを確かめます。社員数が少ない会社は率より実人数と退職理由を優先します。数字を出したら、入社1年以内が高いのか特定の職種に偏るのかを切り分け、最初に手をつける場所を1つ決めます。定着施策はそこから設計します。
全体像をまとめて確認したい方へ:離職防止 対策 中小企業の要点と社内チェックの進め方
絶対に採用してはいけない人 5つの特徴 チェックシート
採用のミスマッチを防ぐために、面接で見逃してはいけない5つの特徴と、誤った採用のリスクを整理しています。
採用のご相談・お見積もり
求人を出しても応募が来ない、採用担当がいない、採ってもすぐ辞めてしまう。沖縄の中小企業の採用を、募集の設計から面接・定着まで一緒に進めます。
- 採用の課題を整理するところから相談できる
- 採用代行(RPO)・人材紹介・求人広告を自社に合わせて提案
- お問い合わせから開始まで通常2〜4週間
この記事は、沖縄県浦添市の採用代行(RPO)会社・株式会社Cavitteが執筆しました。県内大手ホテルや世界的飲料メーカーで人事を経験したメンバーが、約1,600名の面接実績をもとに沖縄の中小企業の採用と定着を支援しています。(2026年10月時点の情報です)

