昨今、ビジネスのDX推進、IT化といった流れを受けて、人事領域にもその変革の波は訪れています。
また、企業がSNSへの発信に力を入れ、SNS採用というワードも珍しくなくなってきました。
昔とは比べものにならないほどのスピードで変化が求められる現在では、前進していかなけば、留まることすらできず後退していくと言われています。
そこで、多くの企業が新しい採用手法を模索し、試している状況かと思われます。
しかしながら、改めて自問していただきたいことがあります。
取り組みを選択していく上で、その中でも最も基本となるWho、Whatは明確でしょうか?
具体的には、どんな人材「Who」を求め、自社の何を「What」届けたいかは明確ですか。
その2つが明確であれば、おのずと自社に必要な「How」、つまりどんな方法・ツールで採用活動を続ければいいのか迷いがなくなるでしょう。
もし、トレンドだからと手間とコストをかけて、様々な方法・ツールを試しているものの、効果がでていないのなら、Howでなく、WhoとWhatをもう一度見つめなおしてみませんか。
自社が、本当に求める「Who」とは誰なのか
必要なことは「たった1名の本当に欲しい人材」を理解することです。
募集前の前提
まず前提として、離職する者の代わりとなる欠員補充と業務拡大のための増員なのかを分けて考えます。
欠員補充の場合
欠員補充の場合、離職社員及び既存社員に関して、以下の棚卸しをします。
・業務内容とその業務を行うにあたって必要な経験及び能力
・上記の経験や能力を以下に分ける
Must(必須)/ Want(あれば尚よし)/No matter(どちらでもいい)
離職社員の完全なる代わりの人を探すことは不可能ですし、既存社員が補えることもあるでしょう。
そこで、Must要件でかつ、既存社員で補えない部分を満たす人材が「Who」になります。
※ただし、Must要件でも入社後に得ることのできる要件は外します。特に離職社員が長く勤めていた場合は、部門を超えて貢献していた部分もあるので注意が必要です
業務拡大に伴う増員の場合
業務拡大のための増員の場合は以下の視点から「Who」を考えます。
・増員する目的
→既存社員の負担を減らしたいのか、増員により売上を伸ばしていきたいのか、新しい業務を始めたいのか
その上で
・既存社員を軸にどんな人材が必要か見極める
→既存社員の経験、能力等と比較し、リーダー、同業務、補助のうち、どの人材が必要なのか
・欠員補充と同様に、Must要件を明確化する
欠員補充、増員に共通して考えること
業務は互いに連携して行われることが多いので、これから入ってくる社員だけを考えるのではなく、既存社員も含めて考えていきます。
また「Who」を決めるのは、業務にまつわることだけではありません。
業務と同様に、社風や社内環境にも目を向けましょう。
自社は業務を通して、または業務を超えて何を大切にしているのか、どんな理念、指針のもと行動しているのか、してほしいのか。そして未来は何を目指しているのか。
この部分が合わなければ、どれほど個人の経験や能力があっても早期退職となったり、既存社員にも影響してきます。
「Who」へのまとめ
▶離職社員及び既存社員の業務に関する経験や能力の棚卸しを行い
Must/Want/No matterに分ける
▶採用することで達成したい目的を明確化する
▶社風や環境も鑑み、自社に合う人物像を考える
これらの事を踏まえて、「Who」を固めていきます。
さらに詳しくは下記のブログをご参考ください。
自社が届けたい「What」とは何か
次に「What」、つまり何を届けるのかというと、ずばり「価値」です。
「What」=「価値」とは
価値とは、便益と独自性より成り立つといわれます。
まず便益とは、自社を選ぶ理由です。
「この企業は○○だから選ぼう」となる部分です。
それに対して、独自性とは唯一無二であり他社を選ばない理由となります。
「この企業でしか○○できないから選ぼう」となる部分です。
この2つが組み合わさることが応募へのきっかけとなるでしょう。
また、この「価値」を考えるとき大切な視点が、
「応募者に何を提供できるのか」ではなく、「応募者は何を求めているのか」という視点です。
その為にぜひ行っていただきたいことがあります。
それは、社内で優秀な社員へのヒアリングです。
優秀な社員へのヒアリング
優秀な社員とは、実績があるのはもちろんのこと、自社を理解し溶け込んでいる社員です。
その優秀な社員にヒアリングする内容は、
・自社を知ったきっかけ
・求人記事を見て、どんな印象をもったのか
・なぜ応募にいたったのか
・なぜ定着できているのか、といったことを聞き、深堀りします。
何人かを深堀りすると、そこに共通する価値が見えてくるでしょう。
特にどのような独自性があるのかを、競合他社を研究しながら明確にしていきます。
また「自社を知ったきっかけ」、「求人記事を見て、どんな印象をもったのか」は、
今後の「How」の選択、募集記事の見直しに役立つでしょう。
この時、注意していただきたいことは、ヒアリングは一方的なアンケートで済ますのではなく、対面で聞き取りましょう。
対話の中でその社員が気づいていない潜在的なニーズも見えてくるはずです。
よく「Z世代は○○」など世代でひとくくりにされがちですが、実は地方や都市部、経験・未経験などによって、世代だけでくくることのできない事項もあるので一人一人向き合う必要があります。
その際、同じ部門だけでなく、他部門、他世代、勤続年数の差異など、枠にとらわれず比較する事で、より共通項がはっきり見えてくるでしょう。
まとめ
「Who」と「What」が明確になったら「How」が決まる
このように、本当に必要な「Who」が誰なのか、自社が届けたい価値「What」は何かを明確にすることで初めて効果的、効率的な手法やツール「How」がみえてきます。
更に、面接官が複数いる場合、例えば部署ごとに面接官を設置する場合など、共通する「Who」や「What」をすり合わせる必要があります。
その際、資料だけで共有するのではなく、言葉の定義への明確な確認が必要となってきます。
【例】意欲:「達成意欲」なのか、「活動意欲」なのか
コミュニケーション能力:空気を読む、説明力ある、対応する引き出しの多さなど
その他、「Who」と「What」を明確にするメリット
最後に「Who」や「What」を振り返ることで得られるメリットが2つあります。
・自社の人材リソースの明確化
既存社員も含めた棚卸しをすることで、社内の人材リソースを明確にすることができます。この機会を利用して、中長期的な人材戦略に役立ててはいかがでしょうか。
・既存社員のモチベーションアップ
先述の優秀な社員にヒアリングすることで、社員自身もこれまでの事を振り返ることとなるため、モチベーションが高まるでしょう。
ぜひ一度、お試しください。
いかがでしたか。
私たちCavitteではRPO(採用アウトソーシング)事業からコンサルティング事業まで、人事領域を中心とした様々な課題に対して、全力でサポートしていきます。ご興味ある方は是非一度お問い合わせください。