採用を考えている企業であれば、自社に合った応募者を獲得し、そして早期離職を防ぎたいと考えていることでしょう。
しかし現在、どちらも上手くいっていないと感じているなら、自社のネガティブな点をアピールする「RJP理論」が有効かもしれません。
当記事では、なぜRJP理論が有効なのかその理由と注意点を紹介します。
これまでとは違ったアプローチとなるRJP理論、ぜひ課題解決にお役立ていただければと思います。
RJP理論とは?
RJP理論とは、Realistic Job Previewの略語であり、簡潔に説明すると、応募者に会社のポジティブ情報だけでなく、ネガティブ情報も開示するという考え方です。
なぜネガティブな情報を伝えるのか?
それは、応募者にあらかじめリアルな情報を伝えることで、仕事のきつい部分や厳しい部分、また会社にとって足りていない点(福利厚生など)を理解したうえで入社してもらうためです。
(※もちろん伝え方は大事です。詳しくは後述します。)
その結果、入社後の「(応募者)こんなはずじゃなかった」や「(企業)もっと活躍してくれると思った」といったミスマッチを軽減できるというものです。
実際の転職者向けのアンケートをご覧ください。
【転職者が感じた、入社前の期待と入社後の現実とのギャップ】
上記のアンケートによると、約23%の人が期待を下回るギャップを感じているとのことです。約4人に1人の割合になります。
データ引用元:「転職者の入社後の活躍度」調査報告2018_エン・ジャパン
https://partners.en-japan.com/special/180516/
そこで、そのギャップを埋めるのに有効なのが、RJP理論です。
会社のネガティブな点のアピールが採用成功につながる理由
会社への信頼感につながる
ネガティブな点を見せることで、逆に「包み隠さない会社」や「誠実な会社」といったイメージを持たれるので、会社への信頼感につながります。
ポジティブな点しか見せないと、かえって不信感につながることもあります。
ミスマッチが生じにくい
上述したように、ネガティブな点を知って入社するので、心の準備ができており、実際にそのような場面に遭遇しても「ああ、聞いていたアレね」と受け入れやすく、結果、早期離職の予防につながります。
事前に免疫をつけるといった意味から「ワクチン効果」といわれることもあります。
応募者が「自分に適した企業か?」を判断しやすい
面接前に得られるメリットです。
ポジティブな点・ネガティブな点を把握できるので、応募者は「自分に適した企業か?」を判断しやすいです。これを「セルフスクリーニング効果」といいます。自分で自身をふるいにかけ、「こんな大変なこともあるけれど、それでもここでやってみたい」と内省したうえで応募してきます。
また、「自身の希望条件を叶えられるか」もしっかり確認、納得しているためモチベーションも高まりやすいといわれています。
採用コストを削減できる
面接などを行なうと、その分の時給や労力がかかるため、採用コストが発生します。
いわゆる「見えないコスト」です。
事前に「こういったネガティブな点があるなら、働けない」と思う、マッチ率の低い応募者を除外できると、無駄な面接を防げます。
その結果、確度の高い人を厳選して採用時間に充てられるため、採用担当者の時間を有効活用することができ、結果、採用コストの削減につながるというわけです。
※採用コストについては過去のブログにて解説しています。記事はこちらから↓
RJP理論を導入する際の注意点
RJP理論活用のタイミング
RJP理論を活用する上で、タイミングは非常に重要です。
応募の前とはいえ、自社に対するイメージが固まってきた段階でネガティブ情報を提示されると、「思っていたのと違う」と思われる可能性があります。
そうすると、がっかりするのはもちろん、「情報を隠していた」と思われ不信感につながるケースもあります。
そのため、求人記事の段階で明確にするのがよいとされています。
応募者数が減る可能性を理解する
ネガティブ情報を見ても「働けそう」と思う人のみが応募してくるので、母数として応募者数が減る可能性は理解する必要があります。
ただし、応募者が減ることで、焦りを感じるかもしれませんが、マッチ度の高い人のみが応募すると考えれば非常に効率的といえます。
ポジティブ・ネガティブのバランスに配慮する
いくらネガティブな点を伝えるといっても、ポジティブな点を少なく伝え、ネガティブな点をたくさん伝えてしまうと、企業によいイメージを持ってもらえません。
一般的にはポジティブ:ネガティブは7:3程度にすることをお勧めします。
ネガティブな点ばかりが際立ってしまうと、自社にマッチする応募者にも嫌厭されかねません。
伝え方に工夫が必要
同じネガティブ情報であっても、伝え方を間違えると、かえってイメージダウンにつながってしまいます。
【良い例・悪い例の比較】
【NG】今とても忙しいので、細かく教えることが難しいことも多いと思います。
【OK】設立から日が浅く、ルールや基盤を整備している段階です。自身で考えて行動してもらう場面も多いと思いますが、その分各自の裁量権が多いです。
また、同時にポジティブな点への転換や、課題解決に向けて取り組んでいる自社の姿勢などを伝えましょう。
【良い例】
研修期間は○○であり、その期間は大変ではあるけれど、その後はすぐに○○のようなことを任せるため実績が作れます。
残業は○○時間あるけれど、スケジュールは自分で調整することができ、また個人への負担を減らすべく、○○といった解決に向けて着手しています。
RJP理論の活用例
募集段階
・求人記事に社員インタビュー掲載
⇒ネガティブな点をどう克服しているか、
やりがいやキャリアアップにつながっているかも伝える
・各職種の体験入社動画
⇒実際働く環境、雰囲気、同僚のリアルを見てもらい体感してもらう
選考段階
・体験入社の実施
⇒内定前に数日体験入社を行う
・ワークサンプルテストの活用
⇒面接前後に実務に沿った課題を与え、どう解決するか実際考えてもらう、
もしくは社員と一緒に解決する。
まとめ
いかがだったでしょうか。
RJP理論の必要性を感じるものの、自社への具体的な進め方に頭を悩ませるなら、採用のプロの手を借りるのも一つの手段です。
私たちCavitteではそれぞれの企業が求める人材を採用するお手伝いを致します。
人材要件や採用基準の設定、採用業務の一部代行、更には求人広告掲載など、企業が抱える課題に合わせた解決策をご提案致します。